元保育士・幼稚園教諭の保育士ママ(@hoikushi_mama_)です。
人体が好きな息子は話し始めた頃から「お医者さんになりたい。」と言っていました。
子どもが医者を目指すために必要な、人体に興味を持てる環境づくりを行ってきたんです。
今回の記事では、新たに我が家に導入した かこさとし からだの絵本の内容についてご紹介します。
「どうしてうんちはでるの?」「腕に見える管はなんなの?どうして青いの?」
そんな子どものアンテナに引っかかった疑問。
小さい頃から知的好奇心を育み、自己肯定感を高めることで生きる力を身に付けることが賢い子どもを育てるためには重要です。
とはいえ、消化吸収の働きや血液循環、神経のしくみなどを子どもに説明するのは難しいという方も多いと思います。
そこでこの記事では,子どもが体のしくみを知り、
主体的に健康的な生活を送れるようにとメッセージが込められた「かこさとしからだの本」についてご紹介します。
子どものなぜ?どうして?にも親子一緒に楽しめるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
「かこさとしからだの絵本」の10冊のストーリー
1976年に発表された、かこさとしからだの本。
現在では、
絵本の10冊のセット
全部で以下の10冊のシリーズになっています。
- おなたのおへそ(生命)
- たべもののたび(消化)
- むしばミュータンスのぼうけん(歯)
- あかしろ あおい ち(血液)
- はしれますかとべますか(運動)
- てとてとゆびと(手・指)
- あがりめさがりめだいじなめ(目)
- ほねはおれますくだけます(骨)
- すってははいてよいくうき(呼吸)
- わたしののうとあなたのこころ(脳・心)
3歳から小学校低学年向けであり、体のしくみに興味を持ち出す時期にスタートアップとしておすすめです。
中学の理科の内容まで絵本では網羅されていますが、コミカルかつユーモアな絵で表現されているため、
小学生以降はリアルな写真などが掲載されている図鑑で内容を補ってあげるのもいいでしょう。
以下で詳しい内容をご紹介します。
あなたのおへそ
おへそはいったいどうしてできたのでしょう、という問いかけから始まります。
- たまごを産む生き物とお母さんのお腹のなかで育つ哺乳類との違い
- へその緒の働き
について説明。
お母さんのお腹の中にいた印、お父さんお母さんにもあるおへそで語る生命のつながりを伝えています。
「最後にあなたの大切なおへそをいじったり、冷やしたりしないよう大事にしましょう」
おへそを題材にした絵本って珍しいんです!
「あなたのおへそ」では、おへそを通して、
お母さんの愛情を感じることが出来る素敵な絵本だと感じました。
たべもののたび
口から入った食べ物がどうやって排泄物になるか、冒険ストーリーにして描かれています。
食べ物が「ももいろトンネル(口の中)」「のどの奥のせまいほそみち(食道)」を通って、
「いぶくろこうえん(胃)」に着きます。
その後「しょうちょうこうえんのジェットコースター(小腸)」と「だいちょうどおり(大腸)」を経て栄養が吸い取られ、
最後うんちやおしっこになって旅は終わりです。
よく噛む大切さや早食いしないでゆっくり食べる意義が言及されており、
胃液で食べ物がドロドロになる過程など分かりやすく描かれています。
むしばミュータンスのぼうけん
むし歯菌のミュータンスを主役に、子どもたちにむし歯を勧める形式でむし歯の怖さを面白く説いています。
ミュータンスに支配され、どんどんむし歯が加速していく様子が気持ち悪く描かれており、子どもの恐怖心をあおります。
- むし歯の弊害が痛みだけではなく、
- 歯並びや発声・発音への影響
- 落ち着きのなさ
- イライラしやすくなる
- 食事が取りづらくなり病気にかかりやすくなる
と挙げられています。
そして最後に、歯を磨かずに甘いお菓子をたくさん食べて、わがまま言って早くむし歯だらけになってくれたまえ、
と子どもの反発心を誘って締めくくられているのです。
息子は、まだ虫歯はありませんが、歯磨きをすることをサボうとしたりすることがありました。
でも、この「むしばミュータンスのぼうけん」を読むと、虫歯の恐ろしさを感じたようで、毎日しっかり歯磨きをしてくれるようになりました。
虫歯の本や歯磨きの本は、色々と出版されていますが、
ミュータンス菌という言葉にも触れられ、歯磨きしないとどうなるのかを一番リアルに描いてくれているのが「むしばミュータンスのぼうけん」だと感じています。
あかしろ あおい ち
血液のお話です。
ケガをしたときに出た血は何色であったか、血の中には見えている色のものだけではなく、
さまざまな役目を持ったものがある、という冒頭。
顕微鏡で見た血液の状態がかわいらしく描かれています。
赤血球を「赤いドーナツパン」と呼び、体のためになるもの(主に酸素)をこのドーナツパンが取り入れ、体を巡っているのです。
他にも
- 白血球(しろいおもち)
- 血漿(きいろいしる)
- 血小板(ちいさなほし)
といった血液の成分と役割、
動脈静脈が体を流れる仕組みについて分かりやすく、かみ砕いて解説。
失血することの危険性について伝え、自分も他人も大事な血が流れないよう、
ケガをしないようさせないようにと諭しています。
赤血球・白血球など血液の名前や働きを1回読んで覚えて会話の中で使っています!
絵本のイラストでも、図鑑で見て同じだと分かるように描かれているので、
図鑑を見ながら、絵本で見たことを確認しています!
3歳でも楽しんで学べました!
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はしれますかとべますか
運動の大切さについて説かれています。
ますはきちんと歩くこと。足の向きや歩幅、腕の振り方、体幹のあり方など立派に歩くためのテクニックを伝授しています。
次に早く走るためのコツと呼吸法について。
そして走ったり跳んだりするためには、心臓や神経が正常に機能していなくてはならない。
そのためには小さいときから、鬼ごっこや縄跳びなどをして思いっきり遊んで丈夫な体を鍛えようと伝えています。
3歳では、興味を持てなかったようで、あまり見てくれませんでした。
でも、年中・年長ごろになれば、言葉とイラストで歩き方・走り方・良い姿勢を描いてくれているので、理解して動いてくれるかと思っています。
てとてとゆびと
この題名からは予想外な人類の進化のお話です。
どうして人間だけが便利な手を持っているのか。
人類の祖先が最初は四足歩行だったこと、やがて二足歩行になり手と指を使い、武器や道具をつくり知恵を増やして進化してきたこと。
手と指をしっかり使うと考える力を伸ばし賢くなるので、
大人に甘えずに靴下やボタンも自分で頑張ってチャレンジしましょうと締めくくられています。
あとがきではやみくもに動かせばいいというものではなく、考え工夫し思案する、それこそが大切なのだと残されているのです。
「てとてとゆびと」は、3歳には難しいか?と思いながら読みましたが、
人間が猿人から進化しているところなどは楽しそうでしたが、他の本と比べて食いつきは悪かった!
3歳には難しいかも。
7、あがりめさがりめだいじなめ
目のしくみや眉毛まつ毛の働き、目を疲れさせないようにするためにはどうすればよいか。
また目はなぜ二つあるのか、両目が揃っている意味を遠近を取ることを理由に解説しています。
目を傷つけたり、疲れさせたりする日常あるあるシチュエーションと疲れたときの対応についても紹介。
最後に高齢者や弱視の人への労わりを伝え、自分の目も他人の目も大切にできるような人格形成へと繋げています。
目の大切さや、目の仕組みを分かりやすく、詳しく、子どもが楽しめるような絵本は、さすが、かこさとしさんだなと思いました。
絵本で楽しみながら、水晶体など専門用語も学ぶことが出来て、素晴らしいです。
人体図鑑と並行して、からだえほんシリーズを読むと、もっと知的好奇心が湧きます。
ほねはおれますくだけます
衝撃的なタイトルですが、骨はどういう役割でなぜ大切なのかが説かれています。
- 大切な骨はぶつかったりたたいたりすると折れたり割れたりしてしまうこと
- 丈夫にするために好き嫌いせずに食べて、よく運動すること
が伝えられています。
コミカルなガイコツが話しかけてきて、物語は始まります。
イカなどの骨がない生き物のこと、骨の中はどうなっているのか、骨が折れる時はどんな時かなど、
とにかく骨のことについて分かりやすく面白く話しかけてきます。
実は、この絵本がきっかけで、ガイコツのキーホルダーをカバンにつけることになりました。(泣)
すってははいてよいくうき
- 生き物には空気が必要なこと
- 呼吸における鼻や鼻毛・喉・肺の働き
- くしゃみの意味
が絵とともに解説されています。
吸い込んだ空気が気管を通って、肺に送り込まれ肺胞に辿り着き、
きれいな空気の交換が行われることまで描かれているのです。
そして交換され人間が吐いた空気がどのように循環されているのか、
森林や海での光合成の視点から解説し、空気汚染や環境保全、受動喫煙の害を訴えています。
空気のことだけでなく、タバコの害や、環境についても考えることが出来る本でした。
3歳では飽きるか?と思いましたが、特にタバコの害について印象に残ったようで、
タバコを吸っている叔父さんに、「タバコ吸ったら肺が悪くなるよ!」と注意していました。
10、わたしののうとあなたのこころ
見たり聞いたりした情報が、脳を介して手足などの全身運動につながる仕組みを描いています。
また動かす以外にも覚えること・考えること・創造することができ、使えば使うほど立派に成長する、とも言及されています。
- 新しくなったきれいな血液が頭に送られて力が発揮されること
- 疲れやすいため夜更かしせずに、ぐっすり眠って脳を元気にさせること。
そして心も脳の働きによって左右されることを伝え、良い心を持ちましょうと説いています。
「考えることが大切!」とよく言っているのですが、なぜ考えることが大事なのか、
絵本を見ながら説明できました!
「かこさとしからだの絵本」10冊の絵本
知的好奇心を育む3つのポイント
1.子どもに分かりやすい言葉とストーリー
小学校や中学校で習うような消化器運動や血液の働き、
レンズの仕組みなどについて幼少期の子どもが分かるよう、巧みな言葉と絵で表現されています。
「たべもののたび」では小腸や大腸を思わず子どもが指でなぞりたくなるような迷路のように表現しており、好奇心を刺激。
子どもの腸は身長の7倍あるといわれ、4歳の平均身長は約100㎝であり、とすると腸はおおよそ700㎝、7mにもなります。
「ジェットコースター」と名づけ、指で追いたくなるように描くことで、ひそかに腸がとてつもなく長いことを伝えているのです。
また順番通りにこのシリーズを読むことで知識が深くなるようにも作られています。
- 「あかしろ あおい ち」では血球と酸素の結びつきやその働きを描く
- 「すってはいてよいくうき」でその結合が肺のもっと奥の肺胞で行われること
- 「わたしのこころとあなたのこころ」で肺胞で酸素を取り込んだ血液が脳に送られて力を発揮すること
というように、本を順番に読み進めることで、
おのずと段階的に知識が得られるようになっていますね。
このように子どもにも分かる言葉とストーリーで、知識を点としてではなく、線として結びつくよう体系的に学ぶことができるのです。
2.図鑑ではない手に取りやすい絵本であること
「かこさとしからだの本」は、図鑑ではなく気軽に手に取りやすい絵本です。
それが知的好奇心を刺激するのに効果的であるという理由。
子どもが持ち運びやすい絵本ということは、知りたい!と思った瞬間を逃がさず、
すぐにその場で詳しい情報に触れられるということだからです。
子どもの関心が持続するのはたった30秒。
うまく知的好奇心を刺激するには、いつでもアクセスしやすい環境が必要ですね。
かこさとしさんは生前、『自分が持てる重さで、自分がめくれるもので、気に入ったら抱っこして一緒にねんねしてくれて、そういうのは絵本だけ』と語られています。
かこさとしさんの科学絵本の代表作とも言える、「川」や「海」、「だんめんず」、「ピラミッド」なども、
図鑑級の網羅性があるにも関わらず、絵本であり続けることの信念が通されているのです。
小さな子どもが気軽に持ち運び、好きな場所で見て聞いて、なにかを感じ取る。
「かこさとしからだの本」はそれを可能にします。
機能や役割だけではなく、次の行動に結びつけられる
「かこさとしからだの本」は知識を得た上で次に正しい行動はなんなのかを考えさせたり促したりする展開になっています。
人体に関する図鑑は数あれど、それらと一線を画すポイントがここにあると私自身が強く思っているところです。
「むしばミュータンスのぼうけん」はミュータンスが好きなもの嫌いなものを挙げ、
この先も長いお付き合いをしていきたいという野心から子どもが反発して行動を起こすことが狙い。
「あがりめさがりめだいじなめ」ではどのような行動を取れば、目の健康を守れるのか。
「すってはいてよいくうき」ではみんながきれいな空気を吸うためには、どんなことに気を付ければよいのか。
このように随所に子どもたち考えさせるように作られているのです。
そして実際にこの本に影響を受けた大人の声があります。
2018年7~8月に川崎市市民ミュージアムにて開催された「かこさとし展」でおてがみをかこう!コーナーがありました。
そこには「むすばミュータンスのぼうけん」を読んで、とても怖かったおかげで21歳になるがむし歯はできたことがない。歯に興味が沸いて歯科衛生士になった。
という内容だったのです。
また
- 「よく噛んで食べて」
- 「テレビからもっと離れて見て」
子育て中のママなら、一度は言ったことのあるセリフですよね?!
この本を一緒に読むことで、お父さんお母さんがなぜそのようなことを言うのか、
子どもに理由を説明できるのは、最大の利点でした!
かこさとしさんは「私の科学絵本論のまとめ」について次のことを述べています。
『もう一歩進んで、単に作者の意図や出版社の立場だけではなく、読者への影響やよびかけを考え、(中略)将来に向かって働きかけているか否かによって、科学性が多いかどうかを見極める必要がある』
自分の体の正しい知識を得て、何が良くて何が悪いのかを自分で考え、行動に移す。
それが今後さまざまな情報を元に自ら考え判断し前に進み続ける力になっていくと思うのです。
【かこさとしからだの絵本】10冊のペーパーブック まとめ
今回「かこさとしからだの本」の各内容と知的好奇心の3つのポイント
- 子どもに分かりやすい言葉とストーリー
- 図鑑ではない手に取りやすい絵本であること
- 機能や役割だけではなく、次の行動に結びつけられる
とご紹介しました。
かこさとしさんは終戦後、昨日まで「天皇陛下バンザイ」と言っていた大人たちが、
一変して民主主義を謳う様に絶望し、これからは自ら考え行動し、自ら発見する生き方をしてほしいと願い、
科学絵本を手がけるようになりました。
このメッセージは近年いわれている「自己肯定感を高める」「生きる力をつける」に通じるものがあるのではないでしょうか。
ぜひ「かこさとしからだの本」を通して、自分の体を知り、大切にできる行動をとれる。
そして自分以外の人も大切に思う心を育んでいきましょう!
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