小学校受験の絵画ってなぜ出題されるの?
正直絵画まで手が回らないし、教え方も分からない・・
小学校受験対策の重要カテゴリのひとつである「絵画」。普段通っている幼児教室だけに限らず、絵画専門塾に通ったり、絵画頻出の学校を受験する際は数年にわたり何百枚も描くことが常識とまことしやかにささやかれます。
小学校受験において、どうして絵画が重要視されるのでしょうか。
小学校受験のプロであるうみ塾長が解説します!
【小学校受験】絵画がなぜ出題されるの?
小学校受験に限らず、幼児教育において絵画は非常に重要です。その理由は、お子さまの描く絵の中に「精神的発達状況、知識、経験値、想像力、発信力」の全てが詰まっていると言われているからです。
答えが決まっているペーパーテストに回答することは、トレーニングや繰り返し演習に取り組むことで力がついてきますし、お子さまによって答えが変わることはありません。
反対に、絵画はお子さまが100人いれば100通りの表現があり、絵を見るだけでそのお子さまと丸一日一緒に過ごしお話する以上に理解ができるとも言われています。
小学校受験が絵画課題を出題する理由について、プロが詳しく解説していきます。
月齢にそった精神面の発達状況
絵が描けるようになる過程には精神年齢が影響されると言われています。例えば2~3歳になると〇の中に目や口を描きはじめ、3~4歳で顔から手足が飛び出したような絵(頭足人間)を経て、4歳前後で胴体のある人間の形が描けるようになります。
幼児期において「人間や動物の形状を描ける」ことは、精神的な発達が順調であることを意味するのです。
また、背景となるモチーフや人間の描き分けができることは認知力の成長と繋がっています。
学びのベースとなる指示理解力
小学校受験の絵画テストにおいて、完璧に自由な絵を描くという機会はあまりありません。「将来の夢を描きましょう」「家族で出かけた思い出を描きましょう」といったようにテーマをあげられることがほとんどです。
その理由は、試験官の指示を理解し、そのルールにそった製作ができるか。指示理解力を試されているからです。
小学校に入学すると、幼稚園・保育園時代と比べ物にならないほど先生の指示に従う機会が増えます。1クラスに30人以上の児童がいますので、指示を聞けないと授業や生活の進行に大きく影響が出てしまいます。
そのため、小学校受験ではしばしば「指示を理解し実行できるか」を試されるような課題が登場しますが、絵画もまさにその一旦を担っているのです。
自分らしさを伝える表現力
小学校受験の絵画では、お子さまが頭の中で想像できたモノしか描けないと言われています。そして頭の中にぼんやりうかぶ想像を絵にするには、表現力が必要です。これはただ絵を描く表現だけではありません。絵画が出題される多くの学校では、作品を開設する時間があったり、試験中に机を回りながら試験官が質問をすることがあります。
その際に、自分の言葉で「どうしてこの絵を描いたか」「どんな想いが詰まっているか」を伝えられるプレゼン能力も求められます。
【小学校受験】絵画で見ていること
では、実際の考査で合否を分けるポイントとなる「絵画で試験官が見ている点」について詳しく開設していきます。
線のひき方、色の塗り方
しっかりとした線がひけることは、正しい鉛筆の持ち方ができ年齢相当の筋力がついている証拠です。また、ていねいに色塗りをできることは指先の動きがなめらかで巧緻性に優れ、物事にじっくり取り組めるような根気ある性格も表します。
そのため、線のひき方・塗り方をしっかり練習していねいに素早く仕上げられるようにしてください。
知識・経験値
海の絵を描いたとします。様々な種類の魚や貝に海草を描き、海の色も青でなく黒やグレー・紫や白など多くの色を使って表現できたら、このお子さまは本当に海が好きで実際に遊んだ経験があることが伝わってきます。
知っていたり見て触った経験があるからこそ、いきいきとした絵が描けるのです。
描けるもの=お子さまの知識・経験値ですので、描かれる内容によってそのお子さまやご家庭が大切にしてきたものが明確になるんです。
プレゼン能力
例えば「はたらく車を描きましょう」という課題に対して、タンクローリーの絵を描いたお子さまがいたとします。どうしてこの絵を描いたのか質問した際に
「かっこいいから!」
と答えるのと
「おうちの近くの工事現場でたくさんの土を一気に運んでいるところを何度も見た。力持ちですごいなと思った。とても格好良かったから」
と答えるのであれば、どちらが表現力があると思われますか?
後者の答えができるお子さんは、キット自分の五感を使って工事現場を観察していたと思います。
そんなお子さんは、タンクローリーだけでなく、背景に土の山や工事現場の道具なども描きこめるはずです。
【小学校受験】絵画がなぜ出題されるのか?プロが解説まとめ
小学校受験の絵画テストと聞くと「絵が上手なこと」が大切と考えがちです。
けれど、その絵を通して学校側が知りたいのは、お子さまの感性や発達状況、ご家族の日々の生活の取り組みです。
絵を通すと、とりつくろったり格好つけることができません。お子さまが良い絵を描けるかは知識・経験がものを言います。
毎日何枚も描く練習をすることも大切ですが、それ以上に日々の生活の中で季節の移ろいに気を配り、お休みの日は家族でお出かけして多くの経験を積ませてあげてください。
そうすることで、本来お子さまがもつ感性がどんどん豊かになり、その子しか描くことのできない唯一無二の作品が生まれるようになりますよ。ぜひ頑張ってください。